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地元がテーマのお菓子ブランド 海神だからできること

船橋・津田沼

2014年01月11日土曜日

オニオン記者投稿

2014年01月11日土曜日

地元がテーマのお菓子ブランド 海神だからできること

kao
菓子工房アントレ パティシエ
髙木 康裕氏

 
京成線海神駅から徒歩すぐにある「菓子工房アントレ」。
数々のコンクール受賞と美味しい商品で、店舗のある船橋市はもちろん、全国的にもその名を轟かせている。
しかし単にコンクールに受賞するような美味しいスイーツを作る洋菓子店は数知れない。
同店が根強い人気を維持しているのは、どこにあるのだろうか。
そこにはパティシエとしての高い技術力と、こだわりの素材を使った地元地域と連携したぶれないモノづくりの姿勢があった。
 
 

地元の素材と斬新なアイデア

 
京成線海神駅は各駅停車のみが停まる、京成のなかでも規模の小さな駅のひとつだ。
駅前の通りも交通量は多いが道は狭く、商店街もシャッターが閉まったままの店舗が目立つ。
「菓子工房アントレ」は、そんな商店街のなかに小ぢんまりと立っている。
「昔は活気のある商店街だったのですが、今はだいぶ寂しくなってしまいましたね。お客様からも、こんな場所にあったのかと驚かれることもあります」と話すのは、同店のお菓子作りと経営の双方を担うパティシエ・髙木康裕氏だ。
もっと利便性のよいロードサイドや駅前、または都内への進出などを示唆する声も多いというが、髙木氏にとっては生まれ育ったこの海神だからこそ、事業へのキーワードがあるという。
「海神(かいじん)って、知らない人にとってはちょっとインパクトのある地名ではないですか? これは先代からのアイデアですが、例えばマロンパイは〝海神山の栗拾い〟などのネーミングにしています。25 年ほど前は地名を商品名に入れていくなんて、あまり前例がありませんでした。しかしこれが地域を知っていただき、地域の方々も地元を見直すきっかけになったのです。」
幼いころはパティシエになるなど考えもしなかったという髙木氏。
しかし地域を考えた、単なる菓子職人の枠をこえた父親の仕事ぶりをみて、いつしか自分もその道を目指すように。
専門学校卒業後に渡仏し、リヨン近郊シャンパーニュ・オ・モンドールの洋菓子店「プリンス・ド・フランス」にてMOFジョセフエマール氏のもとで修業。
帰国後も都内や近県のフランス菓子店で腕を磨き、1997年にアントレを父親から引き継いだ。
「店を引き継いだころは20代半ばと若かったせいもあり、数多くのコンクールへの挑戦もしました。しかし当初からもっと地元の素材を生かした、船橋という地域性をテーマにしたモノづくりを考えていました」と髙木氏は言うが、地域を意識したお菓子作りの姿勢は現在まで変わらない。
確かに髙木氏のコンクール受賞歴は輝かしいものだ。
98年に東日本作品展コンクール アントルメ部門銅賞獲得にはじまり、99年よりモンドセレクションにも5年連続で出品、マカロンとプラムショコラで最高の賞であるグランドゴールドを受賞し、2002年にはTVチャンピオンでの優勝を果たしている。
しかし「今はそれよりもお客様一人ひとりに対する満足度が最重要です。そのため毎日がコンクールだと思っています」
 

 
 

菓子作りを通して地域の活性化へ

 
地元をみつめ、菓子作りで地域活性化を目指す髙木氏の活動は、素材の面からもそのこだわりがみえる。
「先代までは素材のいくつかは業者からの仕入れに頼っていましたが、船橋をよくよく歩き回れば、卵や牛乳など地元の養鶏場や牧場で高い品質のものが手に入ることが分かりました。またフルーツは全国から旬のものを仕入れている一方で、時期になれば梨や苺など、提携した地元農家からの素材も使っています。」
そうして生まれたのがアントレの看板商品の一つである「髙木チーズ」や「髙木ロール」だ。
「髙木チーズはいわゆる小さな一口サイズのチーズケーキですが、何年も改良を重ねて作り上げました。菓子への心からの思いを込めて自分の名前を商品名に入れましたが、開発当初はやはり例がなかったので、ネーミングに対して疑問視する声もありました(笑)。」
高木チーズは地元押木養鶏場の卵と佐久間牧場の牛乳を使用しており、『ふなばし産品ブランド』の認証も受けた。
「船橋は素材も豊富で、海神から近くに船橋市場もあり、フルーツなども自分で目利きして揃えることができます。つまりこの地で素材が揃い、地元連携した商品展開が十分にできるということ。自分にとってはまさに天国のような場所なので、事業で別の地域にわざわざ出る意味がないんです。」
地域と連携した活動は、商品展開だけにとどまらない。
2009年から船橋を愛する若手経営者たちで活動団体を作り、イベントや子供のためのハローワーク等を行い地域貢献にも力を入れている。
また10年には、公益社団法人船橋地域・福祉・介護・医療推進機構の理事にも就任。
医療という分野へのスイーツ作りを提案している。
また翌11 年には知的障碍者をサポートするテミルプロジェクトに参加。
お菓子を作ることで障害をもった人達の働くことへの環境整備に取り組んでいる。
さらに12年、NPO法人TABLE FOR TWOのアドバイザーにも就任。
肥満や飢餓など、世界的な食に対するテーマにも正面から向き合っている。
「まだまだ活動はこれからです。イベントなどでようやく人のつながりができて、点が線となり、地域の輪ができはじめているところ。商品も常に改良を続けていますし、もっと地域と連携・発信して、船橋をより多くの方に知ってもらいたいですね。お店の立地は不便ですが、魅力ある商品が揃えば〝アントレに行くために〟遠方から船橋へ足を運んでくれる方も増えるかもしれない。そうすれば、およばずながら地元での経済効果も期待できます。」
今後は子供たちに、食への関心をもっと高めてもらえるようなイベントなどを考えているという髙木氏。
「洋菓子は人をハッピーにさせるもの」として、その活動はまだまだ広がりを見せている。
 
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『菓子工房アントレ』


船橋で40年あまり続いている、地域では老舗の洋菓子店。
商品の微妙な味わいは時流に合わせて常に進化させているが、美味しいお菓子を作るというスタイルは不変。
地元の地名などが入った「海神スティックケーキ」「天沼公園の桃ちゃん」なども贈答品として人気だ。
市内には二和向台支店もある。
 
住所:千葉県船橋市海神6-8-2
TEL:047-434-8353
営業時間:10時~20時
定休日:火曜・第2、3水曜日(定休日が祝日の場合は翌日)

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