2013年06月25日火曜日
古来よりの伝統、総火造りで造る 打刃物鍛冶の匠

有限会社正次郎鋏刃物工芸
貳代目 正次郎・石塚洋一郎氏・祥二朗氏
洋一郎氏が名人と名高い裁ち鋏職人、初代正次郎氏の下に入門したのが1959 年。1989 年に「正次郎」の名を継いだ際、打刃物鍛冶の伝統を活かすため打刃物製造を始めた。
現在は職人歴17年になる祥二朗氏と奥様の3人で全工程を行っている。
静かな住宅街に、鉄を打つ小気味よい音が響く。正次郎鋏刃物工芸。
全て手で作る昔ながらの総火造りの打刃物鍛冶であり、昔から伝承されるその技法は、千葉県指定の伝統工芸品にも認定されている。
鋼と軟鉄の間に鉄ロウ(接合剤)を挟み、炉で熱しながら、包丁の薄さになるまで何百回も叩き伸ばす。
常に平らに叩かなくてはならず、根気とスピード、集中力のいる作業だ。
その後、切り揃え、焼き入れ、焼き戻し等をした後、砥ぐ…といくつもの工程を経て、一丁の包丁が出来上がる。
「今は大半の包丁が鋼と軟鉄を機械処理した複合材を型抜きして作られているけど、私どもの包丁は鋼と軟鉄を一枚にするところから全部手でやる。
だから仕上げまでできるのは1日2丁が限度」と語るのは、貳代目正次郎・石塚洋一郎氏。
火造り鍛冶としては5代目、名工であった父、初代正次郎の名を継いで四半世紀になる。
正次郎の包丁は、鋭い切れ味はもちろん、その切れ味が長く持つこと、さらに錆びにくいことが特長だ。
「使った後、錆を取らずお湯で洗ってよく拭いてやれば、半年から1年くらいは砥がなくて大丈夫。
手入れが面倒と思いがちだけど、鍛え上げた打刃物は強い。
何十年も使えます」と、6代目・祥二朗氏。
親から子へ、孫へ。
受け継ぐことができる本物が、ここにはある。
◆有限会社正次郎鋏刃物工芸
TEL:0476-26-8061
成田市松崎697
http://www.shojiro.com/
オニオンエクスプレス 特集【逸品が彩る上質な暮らし 極めたものを】より
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