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松戸のまちづくりプロジェクト 「MAD City」。アートと関わる 独自の手法でまちを再生する

柏・松戸・我孫子・流山

2013年05月25日土曜日

オニオン記者投稿

2013年05月25日土曜日

松戸のまちづくりプロジェクト 「MAD City」。アートと関わる 独自の手法でまちを再生する

寺井-元一

株式会社まちづクリエイティブ 代表取締役社長
寺井 元一氏
 
20代のときに、生きにくい世の中に疑問をもった寺井。
住みやすい世の中とは何か?
最初に飛び込んだのはNPO法人を立ち上げての活動。
しかし、それだけでは答えは見出せなかった。
人生をどうするか再考したとき、人と関わって活動し、みんながやりたいことの構造づくりを自分のやり方で進めたいという思いを確認。
そこで見出したのがまちづくり会社の起業。「MAD Cityプロジェクト」はそんな気概のもとに動き出した新しい地域活性のプロジェクトだ。
 
都市ではできない新たなまちづくりを
 
人口約50万人の松戸市。
県内でも有数の世帯数がある市であり、古くは宿場町として、多くの人が松戸を行き交った。
河川敷では花火大会があり、歴史ある寺社も多い。
文化的側面も充実し、都心へのアクセスもそれほど不便ではない町だ。
「でもそういった町は、割とどこにでもありますよね。
まちづくりを考えたときにそれらも必要な要素ではあるのですが、私が松戸に来たきっかけは、十数年前に読んでいた週刊誌で松戸が不良漫画の舞台だったことや、80年代のサイバーパンクで千葉が舞台になったことが話題となり、そうした情報が友人・知人から入ってきて〝これからは千葉に注目だ〟と冗談半分に話していたことが始まりなんです」。
 
寺井は、かつて渋谷でNPO法人を立ち上げ、アーティストやアスリートなどのために、町中にある建物や公園の空きスペースを使ったPRを行った。
それらはストリートバスケやセパタクローの競技開催や、壁画の作成などで多岐にわたって形作られ、世間の注目を浴びた。
しかしながら都心でそうした活動をすすめるうちに、壁に突き当たる。
「結局は都市の中心になるほど、どんどん規制が厳しくなってきて資本も必要になる。
去年できたことが今年はNGになるなど、可能性が狭まってきている実感がありました。
私たちがサポートしてきたクリエイターたちも、房総半島、京都や鎌倉、あるいは西日本や海外へと、東京から離れて活動するようになったのです。
自分がやりたいのは都心ではなく地方で『最高のまち』をつくることだと思いました」。
そこで寺井も都市部から拠点を移すことを決意。
都市周辺でまちづくりの可能性のある土地を模索し、前述の知人などを通してゆかりのあったのが松戸だった。
また松戸を拠点にするにあたり、地元の方々と顔の見える関係が結べる範囲を見出し、MAD Cityというエリア設定などが徐々に確立されていった。
「クリエイターをはじめ新たな活動にチャレンジしようとする人を支え、かつ町に深く関与していけるのが不動産事業でした。
地域活性には欠かせない事業ですし、そもそも松戸には古くからの空き物件も多かったんです。
そこで、弊社の拠点を中心とした半径500mをMAD Cityの活動範囲としました。
これはコンビニ商圏とほぼ同じなのですが、そこに住む人々が密接に行き交うことができ、コミュニティが機能する範囲として理想的だと思ったんです」。
 

背後にあるのが白鷺の壁画。松戸駅にほど近いビルに描かれ、ランドマークとなっている。
 
クリエイティブな自治区を確立させる
 
MAD Cityプロジェクトでは、今では不動産事業だけでなく、地域の町会・自治会とともに、まちづくり団体「松戸まちづく
り会議」を設立して地域活性の企画なども進めている。
クリエイターなどを誘致し、彼らの活動をサポートしながら、まちの活性化につなげていく。
それによってある空き家はよみがえり、あるビルの壁には東日本の震災後からの復興を意味する巨大な壁画が描かれ、ランドマークとなった。
「飛翔」をタイトルとして描かれた白鷺は、松戸市の鳥でもある。
ほかにも江戸川河川敷を会場に、クリエイターの新婦が企画したアウトドアウェディングや、5月には第4回目を数える「高砂通り酔いどれ祭り」もある。
これは商店街を車両通行止めにし、路上にテーブルを並べてフードコートに変身させるもの。
通りがかりの人たちも含め、住民同士のコミュニケーションが図れる場として好評だ。
そうした続々と企画されるプロジェクトは、いわゆるイベント屋の単発企画として行われてはいない。
運営・企画・参加に地元の人々をも交えて行われており、新たに松戸に住む人々と、宿場町の昔から先祖代々住み続ける住民が、これからも長く共存していくためのコミュニケーションの場のひとつとなることが目的だ。
「アートといっても、私たちの取り組みは松戸に住む方々にとって日常生活に深く関わっていくものを目指しています。
同じ松戸に立場の違う住人がいるなら、相互に理解しあっていかなければ当然成り立ちません。
まちは建物ではなく、人でできているのですから」。
今後も松戸MAD Cityプロジェクトでは、不動産サービス事業をベースに、コミュニティデザイン事業を加え、地域のプロモーションにもなるような活動を行っていく。
寺井がいうように、地域に住んでいる人のサポートは、住民同士の参加や協力で実現し、結果的により強い人のつながりを見せていくだろう。
「これからはさらにコミュニティに関わりつつ、地域活性のインフラとしてビジネスを充実させていきたいですね。
魅力的な人が集まるように、オススメできる物件は常に用意していきたいです」。
今後も多角的なアイデアとノウハウを集積させ、寺井の追い求める創造的なコミュニティづくり、まちづくりは具体化されていく。
 

「Edogawa outdoor wedding」。
江戸川河川敷を会場にクリエイターの新婦が企画したアウトドアウェディング(野外結婚式)開催の様子。