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南房総を日本一へ 道の駅を基軸に地域を活性化

南房総・館山・鴨川

2013年07月30日火曜日

オニオン記者投稿

2013年07月30日火曜日

南房総を日本一へ 道の駅を基軸に地域を活性化

加藤文男
株式会社ちば南房総 取締役
加藤 文男氏

 
南房総市富浦町、館山自動車道の富浦ICを下りて海側へほどなく進めば見えてくる「道の駅とみうら・枇杷倶楽部」。
車を走らせていくと象徴的なビワの葉裏の色を模した緑の屋根が目を引く。
1993年の開業当時はまだ道の駅の成功事例などはなく、試行錯誤を繰り返しながらも2000年
には全国道の駅グランプリで最優秀賞を受賞した。
その後も着実な運営を続け、今年は20周年の節目を迎えることができた。
黒字を続けた原動力はどこにあったのだろうか、枇杷倶楽部初代駅長であった加藤文男氏に伺った。
 
 

行政に頼らぬ地域と共生した運営

 
農業、漁業など昔からの産業と海水浴などの観光事業が経済基盤だった南房総。
バブルが崩壊してからは衰退の一途を辿っていた同地に、沈滞を打ち破るべく旧富浦町長の遠藤一郎氏を筆頭に1991年、第三セクターによる地域振興プロジェクトが発足された。
 
「文化振興、地域振興、情報共有できるプラットフォーム的な拠点をつくりたい、という発案がなされました。疲弊した地域を元気にするため、第三セクターとしてスタートさせ、何としても黒字にさせるのが命題でした」
と語るのは、当時の観光・企画課長だった加藤文男氏だ。
 
しかし当時は道の駅というものに対して住民の概念・認識がないうえに、地元産業や観光業へのダメージを懸念する声も多く、スタートから反発は強かったようだ。
そこで富浦町役場内に枇杷倶楽部の事業化を検討する町産業活性化プロジェクトチームを結成。
できるだけ住民との競合を避けて計画を進めていった。
 
「行政に頼らない第三セクターという形でしたし、オープンした1993年当時はまだ道の駅の設置構想が定まっていなかったので、逆に今より自由な発想で事業展開ができました。まず海産物や農産物をそのまま販売すれば、地元の漁師や農家に直接打撃を与える可能性がある。そこで目をつけたのが枇杷です。やはりそのまま使うのではなく、加工してゼリーやジャムにする商品化を進めました」
 
今でこそ枇杷倶楽部の店舗には、枇杷ジュースやカレー、饅頭など魅力的な枇杷の加工商品が数多く並んでいるが、これも枇杷倶楽部の運営母体である株式会社とみうらで開発したものだ。
枇杷は季節限定で全国の出荷量も少ない。
加工して商品化する前例などはほとんど見られなかったため、加藤氏はこれをチャンスだと捉えた。
 
「南房総の枇杷で型崩れ品などを集め、アイデアを出し合って次々商品化していきました。
おかげ様で今や枇杷は南房総の代表農産物になり、その価値は全国に認められるようになりました。
県内の枇杷倶楽部と関係ないところでも、枇杷や加工製品が販売されるようになりましたね」
と加藤氏は嬉しそうに語る。
 
そもそも枇杷倶楽部の目的は、それ自体が潤うことではなく、枇杷倶楽部を基軸にした観光誘致や産業の活性化だ。
枇杷を無駄にすることなく使ってお金に代え、その価値も引き上げる。
さらにその枇杷を通じて周辺事業が盛り上がり、加工事業の拡大や雇用が促進されていく…。
 
「そうやって道の駅を中心に町が元気になるためには、当然枇杷倶楽部の運営を安定させなければなりません。赤字になれば、やはり税金を投入して補填しなければならないですから。しかしおかげさまで、開業以来枇杷倶楽部は黒字経営ですので、ほっとしています(笑)」
 
その努力の結晶が「道の駅グランプリ2000」最優秀賞の受賞だ。
同賞でいかに枇杷倶楽部が利用者に愛され、良好な施設管理および利用者サービスなどを兼ね揃えているかを証明している。
 

ピンチをチャンスに変えていく精神

 
地域振興プロジェクトが発足される以前から、先輩方が苦心して何とか地域を元気にしようと努力している姿を目の当たりにしてきたという加藤氏。
地元で育ってきたという立場も手伝い、自身も逆境に立たされると挑戦したくなり、人と同じことをして満足できない性分だともいう。
 
「枇杷倶楽部という異物を地元のど真ん中に突っ込んで、何とか調整して慣らしていく。もちろん予算もありませんので、やりたいこともやれず課題も山積みです。地元住民の拒否反応もありましたが、一つひとつの声を聞きながらピンチをチャンスに変えてこられたことは、本当にやりがいがありました」
 
1993年の開業から試行錯誤を続け、枇杷倶楽部そのものも着実に変化を遂げている。
開業当時は打ちっぱなし、むき出しのコンクリートの壁や床など、簡素な造りに批評もあった。
しかしそれがシンプルでオシャレ、といわれるような時代に変わってきた。
完全に作り上げるとその先に進みづらくなると加藤氏は言う。
 
「少しずつ予算を捻出していって、入口を改装して導線をよくしたり、テラスを作って飲食スペースを広げてお客様がもっとゆったりできるようにしたり、植樹や花壇のスペースも増やしました。枇杷倶楽部の直営農場である花倶楽部や直営農場である苺狩り園もオープンし、今や枇杷倶楽部は開業当時から20年かけて、1.5倍の面積になりました」
 
訪れるたびにそうした施設やサービスで変化に驚き、楽しむことのできる枇杷倶楽部。
お客様目線からすると、変わる驚きを毎回楽しみにする反面、枇杷商品や居心地の良い休憩スペースなど、基本的なあり方はいつ来ても変わらない。
 
「周辺に様々な土産物などの観光スポットなどが登場していますが、枇杷倶楽部の大勢に影響はありません。逆境はこれからもあると思いますが、働くスタッフや店舗の商品など、素晴らしい環境は揃っていますので、本旨をわきまえてバランスよくいきたいですね」
 
近年はタイ、ベトナムなど、海外の道の駅構築にも奔走している加藤氏。
今後の国内における道の駅のあり方なども模索中であり、これからの枇杷倶楽部の進化に期待したい。
 

 
『道の駅とみうら・枇杷倶楽部』とは
ショッピングや食事のほか、寛ぎのスペースや自然景観を楽しめるつくりが魅力。
カフェレストランの「びわカレー」や、びわテラスの「びわソフト」などは人気で、それを目当てに訪れる人も。
広いアトリウムではイベントが行われ、休憩スペースとして多くの人が休む。
新設の入口カウンターでは高速バスチケットの購入や『iPad』の観光検索などができ、さらに便利に。
 

 
〒299-2416
千葉県南房総市富浦町青木123-1
TEL:0470-33-4611

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