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千葉県の里山を守るため、 自然の中での活動を 提唱する仕掛け人

千葉県全域

2013年04月28日日曜日

オニオン記者投稿

2013年04月28日日曜日

千葉県の里山を守るため、 自然の中での活動を 提唱する仕掛け人

金親博榮

ちば里山センター・谷当グリーンクラブ・谷当里山計画
金親 博榮さん
43歳のときにサラリーマンを卒業し、農林業に専念する人生を歩み出した金親博榮さん(65歳)。
戦国時代から400年以上にわたって代々引き継がれている20ヘクタール(東京ドーム約4個分)の田畑や山林の手入れ・運営をしながら「自然を守るのは“人”しかいない」と実感。
里山で活動することを提唱する「谷当グリーンクラブ」を立ち上げた。その取り組みをうかがってみた。

代々続く農林を守るため43歳で脱サラ

大学を卒業後、電気計測器メーカーに就職。以後21年間、技術営業職として勤務した金親さん。転機は43 歳のときに訪れた。
「課長になり部下が増えて責任が増す一方で、同僚たちの海外赴任が相次ぎました。〝自分はもはや、海外に行ける状況ではないな、と思いましたね」
会社には自分以外に有能な人材がいるが、農林業を営む金親家には自分以外に人がいない。
また、田畑や山林の手入れは、土・日だけでは限界がある。
そう考えた金親さんは、長年勤めた会社を退職。
サラリーマンではなくなる不安もあったが、農林業に専念する決意をしたのである。

いざ農林業に専念し、田畑や山林の手入れを始めて直面した課題は、「生計を立てていくこと」。
そして、「豊かな自然を抱える里山を、ムダに放置させることなく管理・維持していくこと」であった。

「ここ若葉区谷当町は、都市近郊ではめずらしい〝自然あふれるのどかな景観、が広がる地域です。
この恵まれた環境を保っていくことが、われわれの使命だと考えたのです」
そうして考えた策が「金親家の資産である田畑を多くの人々に貸し、有効に使っていただく」という方法。
土地の遊休化を防ぐために、市民農園としてリーズナブルな料金で開放したのである。
「市民のみなさんに使っていただくことで土地が育まれ、貴重な自然と美しい景観を守ることができると考えました」
こうして1992年、金親さんは「谷当グリーンクラブ」を発足。

〝県内や近郊他県に住む方々に家族単位で会員となっていただき、田畑や山林での活動を体験してもらう〟という同好会的な取り組みをスタートしたのである。
田んぼでは苗代作りから収穫までを共同で作業。
畑では作物を育て、山林では草刈りや間伐などを体験。
野外で体を動かすことを楽しんでもらいながら、自然を守る活動につなげている。
さらに同クラブでは、地元の農産物を使った味噌やハム作りなどの教室「わたしの田舎・谷当工房」も開設。
「安全で顔の見える食品作り」をモットーに、素材の味を楽しむことを提唱している。

里山を未来に引き継ぐ普及と仕掛けを

林業離れや林地離れが深刻な問題になっていた千葉県では、2002年に「千葉県里山条例」が施行された。
その施行とともに発足されたのが「里山シンポジウム実行委員会」だ。
金親さんはこの委員会の代表を長年務め、条例の普及活動に取り組んでいる。
また、翌年の2003年には「千葉県の里山をもっとキレイにして活用しよう。
地主、行政、市民の里山活動をもっと広げよう」という目的で「ちば里山センター」が発足された。
金親さんは、その理事長も務め、活動の浸透に注力している。
里山に身を置き〝自然の中で活動すること〟の大切さを提唱し続けながら、里山を守り続ける金親さん。
ウグイスの鳴き声が響くのどかな風景の中で、穏やかに語ってくれた。
「心がホッとするやさしい景色でしょ? このかけがえのない里山を未来に引き継いでいきたいですよね」

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