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千葉の魅力を発掘し 新たな価値を生み出す 敏腕プロデューサーは民間出身

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2015年12月26日土曜日

オニオン記者投稿

千葉の魅力を発掘し 新たな価値を生み出す 敏腕プロデューサーは民間出身

2015年12月26日土曜日

千葉市 経済農政局 経済部
集客観光課 集客プロモーション担当課長 桜井篤氏

桜井 篤/さくらい・あつし
1965年生まれ。早稲田大学卒業。フリーライターを経て株式会社リクルートに入社。「九州じゃらん」編集長などを経験後、2009年に魅力発掘プロデューサーとして独立。佐賀市観光協会などを経て、2013年から千葉市初の民間登用職員として手腕を振るう。

千葉市の熊谷市長によって打ち立てられた行政改革のひとつが“民間出身の優れた人材の登用”である。千葉モノレール社長や産業振興財団理事長といった市の第三セクターや外郭団体での実施を経て、2013年4月に市役所本体の重要ポストを民間から採用した。就任したのは桜井篤氏。旅行雑誌の編集長やコピーライターなどの経験を活かし、過去には佐賀の観光振興を成功させた事もある地域の魅力発掘スペシャリストである。就任して3年弱。千葉市の観光資源に新たな価値を見出し、様々な媒体を活用してその魅力を発信しつづけている姿に迫った。

旅行誌編集長を夢見て一途に走りつづけた20代

 「大学時代は、将来の夢は旅行雑誌の編集長になることだったんです。ですから就職活動では、出版社と旅行業界の両方から目標へのアプローチを試みました」その結果、洗練された言葉で物の価値を描く広告業界に興味を持ちコピーライターに。その後、リクルートに転職した桜井氏は『B-ing』『とらばーゆ』といった求人広告の作り手となった。採用担当者の欲しい人物像を文字とデザインで表現し、掲載されると、約3週間後にはその結果が制作者に伝わる。求人広告のどこを見てどんな人が動いたか、そしてそれは募集企業にとって満足な人物だったか、が逃れようなくわかる。そんな一連のサイクルで培ったものが現在の桜井氏の原点だと言う。
 そこから数年が経ち、海外旅行情報誌『AB-ROAD』編集部での正社員になった。様々な異国の地で、長年かけて根付いてきた民俗や文化の面白みを知った。インターネットもない時代、靴底をすり減らしながら街の特色や見所を見つけ出すという過酷な仕事であったが、この時の経験も後々活きてくる。

九州で夢が現実となり街の魅力を追求した30代

 31歳で受けた福岡への転勤辞令。その前年に創刊された『九州じゃらん』への転属だった。転勤してすぐ、せっかく福岡に来たのだからと博多うどんを食べた時の事だった、「向こうのうどんは柔らかいのが特徴で、讃岐のようなコシの強いうどんが好きな私の口にはどうしても合わない。しかし後日、地元の方から『博多のうどんはわんたんみたいに啜り心地を楽しむもんだ』と聞かされて。そこでまたうどん屋に行き、うどんを啜ってみたらこれが美味しい。」5年間の福岡勤務を終えて東京に戻り、2009年にはリクルートを「卒業」と決めた時、この「うどん」経験が頭にあった。「アドバイスひとつでモノごとの価値は向上できる」と、自らを「魅力発掘プロデュース」と称し独立した。その後、公募に応じて佐賀市観光協会に転職。「記事になる以前の魅力そのものの発掘」を経験。同協会で任期を勤めあげた頃、千葉市での民間採用担当課長募集に出会った。

千葉市の魅力を発掘するプロデューサーとして「現場」を重視する氏は、時に撮影現場へ赴くことも。

千葉市の魅力を発掘しここだけの価値を創造

 千葉市の集客プロモーション担当課長に就任した目的は、言うまでもなく市の魅力発掘である。既存の文化や観光資源を根本から見極め、新たなテーマを発信するのが桜井氏の使命だ。96万人の人口を抱える千葉市の海浜部を幕張、検見川、稲毛、千葉みなと、蘇我の5地区に細分化し、市民の地域愛にフォーカスする手法を取った。『「千葉の海」と、ひとくくりにするにはもったいない各海辺の個性を感じた』桜井氏は5つの地区に5BEACHエンジェルス(5BE)というキャンペーン大使をそれぞれ立ててモデルも務める情報発信の担い手とした。また昨秋から配布されている観光媒体『千葉あそび』では、地場産業や飲食店とコラボレーションした体験型プランを誕生させている。たとえばある十字路の半径50m以内に大衆中華料理店が8店あることに着目。全店食べ歩き調査をして、北京・上海・広東・台湾の味を巡る弾丸はしごツアーを考え、商店街に提案し実現にこぎつけた。また「イチゴ狩り」においては朝一番に行かないとなかなか楽しめないという課題を解決するために、農園との共同企画「午後からイチゴ」も生み出すなど既存の施設やサービスの課題を踏まえ、素材を編集し直し、付加価値を付け提供している。ユニークなところだと、千葉美容事業協同組合と連携してイスラム圏の女性が頭に被るヒジャブ(布)を外せるように、完全個室・女性美容師などの対応が出来る店舗を市内の一部美容院で開始した「ムスリマビューティー」。これは、リクルートが今月発表した「2016年のトレンド予測」の中に、先進的な事例としてとりあげられるなど、注目を浴びている。
 広告や出版業界で培ったサービス提供者とユーザー、そして行政の三者が幸せになる“トライアングルハッピー”理論を意識し、「相手がどこに興味を持って面白い・楽しいと感じてくれるかを突き詰めるのが私の役目です」千葉市にしかない価値を探す日々がつづく。

2014年8月に創刊した「千葉あそび」は3ヶ月に1回の発行で、現在Vol.7号を配布中。のべ申込者数は10,000人を超える。