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己をハードに鍛錬し、人間力を磨きつづけ、理想の競輪選手を目指す

千葉県全域

2014年09月29日月曜日

オニオン記者投稿

己をハードに鍛錬し、人間力を磨きつづけ、理想の競輪選手を目指す

2014年09月29日月曜日

競輪選手/日本競輪選手会千葉支部 副支部長
中村 浩士氏

中村 浩士/なかむら・ひろし
1978年千葉県出身。高校時代は自転車部に所属し、競輪選手になる事を決意。卒業後すぐ日本競輪学校に入学し、97年大宮競輪場(埼玉)にてデビュー。現役選手として活躍しながら、日本競輪選手会千葉支部の副支部長を務める。

 
1997年のデビューから、千葉競輪場をホームに活躍する中村浩士氏。
10年前に中村道場を立ち上げ、自宅に設置した低酸素ルームでの極限状態のトレーニングなど過酷な練習もこなし、若手選手とともにハードな日々を過ごす。
勝つ為には何でも実践してきた中村氏であるが、ただ強いだけでは良い選手にはなれないと言う。
中村氏のキャリアを紐解きながら、競輪選手としての在り方や理想の選手像、将来の夢について話を伺った。

 

高校で自転車競技と出会い競輪選手への道が始まった

9月某日、千葉競輪場。
この日は、人気自転車漫画とのコラボイベントが予定されており、司会を務める中村浩士氏が現れた。
現役生活約20年の間に数々の勝利を獲得し、現在はS級に所属するトップアスリートだが、実に穏やかな表情だ。

小学生の時に両親に頼みモトクロス競技を始めた中村少年。
たまたま参加したMTB大会で優勝する。
この時彼は、勝負の世界の面白さに気付いた。高校生となった彼は自転車部に入部し、競輪選手を目指すようになった。

「入部してすぐの頃かな、上級生から『競輪選手になりたい人はいるか?』と聞かれたんです。正直、それまで競輪選手っていうプロスポーツの世界があるなんて知らなかったんですよ(笑)。でもその時、これだ!!と思い憧れでもあったプロのスポーツ選手になることを決めました」

両親のサポートもあり、高校を卒業し日本競輪学校に入学する。
「練習はめちゃくちゃハードでしたけど、だんだん自分が強く、速くなっていくのが楽しかったです」と言う。

練習が厳しくて辛かった事は? との問いかけには「大好きな自転車に朝から晩まで乗れるんですよ。むしろ嬉しかったです」自転車好きを公言する中村氏らしい切り返しである。
 

デビュー後に味わった苦悩と違いをもたらすトレーニング

競輪学校を卒業した1997年、19歳の中村氏は大宮競輪場でプロデビュー戦を迎える。
500mのバンクを四周走るレースで、先行型選手を目指していた彼は勝負所からがむしゃらにペダルを踏み込む。
が、ゴール時には完全にパワーを失っていた。

「実戦では、いかに効率よく足を使ってゴールまで走り切るかが重要です。ペース配分も考えずにシャカリキになってペダルを踏んでたら、そりゃバテるに決まってます」

初めてプロの世界の厳しさを思い知らされた。
その後、ハードな練習を繰り返す日々が続くが、成績は一向に上がらない。
それどころか、戦績を上げ、階級を上げていく同期たちを見送るという月日が流れて行った。

ある日、強い選手と自分の〝違い〟に着目した中村氏。
伸び悩んでいる選手は、まず強い選手と自分との〝違い〟が何かを見極め、それを詰めていくこと。
「違いをもたらす為のトレーニング」こそ、彼自信が見つけた成長へのセオリーであり、中村道場を立ち上げるきっかけにもなった。

中村道場に込めた思いは人間力を高めるための鍛錬

中村道場は今年で10年を迎えた。
中村氏のモットー〝朝10時までに人の三倍仕事をする〟に基づき、道場は毎朝6時に始まる。

「午前中に練習メニューを終えることで、午後は別の事に時間をあてられます」

ただストイックに練習するのではなく、バンク以外で色々なことを見聞きし、人間力を養う事も必要だという。
選手としての成功は勝つことだが、彼に言わせれば、強さと人間力を兼ね備えた選手は仲間からもファンからも応援される魅力的な競輪選手だという。

これが現役生活20年で見つけた〝中村流の成功哲学〟だ。
中村道場開設のコンセプトも、実は後進の人間力を高めるための精神鍛錬の場という側面が大きい。

競輪選手の花形といえば、持てるパワーの全てを両足に込めて集団の先頭をひた走る先行型選手。

「僕は追い込み型ですが先行選手の気持ちをくみ僕の後ろになる選手の気持ちもくんでレースに対応しています」
仲間とともに勝利を掴む為にペダルを踏むと言う中村氏。

「前で走ってくれる選手がいるから僕の仕事が生きる。競輪って持ちつ持たれつの世界だと思うんです」
勝負の世界とは言え、人間臭い一面もある。

インタビューの終盤、中村氏に今後の目標を聞くと意外な答えが返ってきた。

「日本一の選手を育てることです」
中村道場では最近、門下生が自分で考えた練習メニューにシフトしてきた。
中村氏はメニューをこなす為のアドバイスをする立場に留めているという。
「武道などの世界で子弟関係のあり方を表した『守破離』で例えると、今は「破」の時期ですね」

また、イベントなどを通じて選手とファンの交流の場を作っていきたいと話す。
「多くの人に競輪の魅力を伝えるには、競輪選手の魅力を知ってもらう事からだと思っています。それには強さと人間力を持った魅力的な選手を育てていく事が僕の役目です」


競輪選手の理想像を語る中村氏。

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